《シリーズ》便利屋親父が教える「この頼み方は困る」ベスト5|失敗しない便利屋の頼み方

便利屋親父のコラム
DSC_0002

「便利屋さんに頼んだのに、思っていたのと違った」「料金が高くついてしまった」──そんな声を耳にします。ですが現場に立つ側からすると、「その頼み方ではどうしても無理が出る」というケースがあるのです。本記事では、便利屋親父の実体験から「困る頼み方ベスト5」を紹介します。ただの愚痴ではなく、なぜ困るのか、どう頼めばスムーズにいくのかを解説。これを知っておくだけで、料金トラブルや不満を避け、安心して依頼できるはずです。
ー便利屋親父の独り言

「とりあえず全部やって」では料金が見えなくなる

依頼内容をざっくり「全部片付けて」だけで投げられると、作業量が不明で見積りが出せません。結果、当日追加料金が発生するケースも。
どうすればよいか?
「この部屋を中心に」「家具だけ」など優先順位を伝えるだけで料金も明確になり、無駄な費用を避けられます。

「とりあえず全部やって」では料金が見えなくなる(港区・高層マンション事例)
港区の某高層マンションで、14階から13階への引越しと不用品処分を同時に頼まれたときのこと。依頼主は彼氏さんらしき方で、現地確認では部屋に入れず、外からの下見だけで準備を進めました。養生だけでも3時間かかり、いざ作業を始めたら「これやって」「終わったらこっち」と次々に追加。スタッフ3名で動いていましたが、料金どころではなく「終わるのか?」とボヤキながらの作業になってしまいました。
なぜ困る?
事前に範囲が決まらないと、必要人員や時間が見積もれず、当日バタバタして追加料金の原因になります。
どうすればよいか?
「この部屋を中心に」「家具だけ」など、作業の優先順位を伝えるだけで、料金もスケジュールも明確になり、余計な負担を避けられます。


「できるだけ安く」で具体性ゼロ


「安くして」が口ぐせのように出る方もいますが、何を省くのかが不明確なままではリスクが残ります。
どうすればよいか?
「掃除は不要」「分別はこちらでやる」など、削る作業を明示していただければ本当に安くできます。

「できるだけ安く」で具体性ゼロ(草加市・一軒家事例)
草加市の一軒家で、娘さんからの依頼。親御さんはすでに施設に入所され、今後の生活資金のために家を売却されたとのことでした。
見積もりの段階で「色々お金がかかるから安くやってほしい」とつぶやく娘さん。しかし実際の依頼内容は、家中の片付けに加えて掃除までフルセット。見積りを何度も「もっと安く」と引かれ、こちらも一度は下げましたが、再度言われたときには「これ以上は無理です、スタッフ全員引き上げますよ」と伝えたところでようやくOKが出ました。
なぜ困る?
「安くして」と言うだけでは、どこを削るのかが不明確で、双方が疲れるだけになります。
どうすればよいか?
「掃除は不要」「分別はこちらでやる」など、削れる作業をはっきり伝えていただければ、本当に安くでき、納得感のある料金になります。

「いつでもいいよ」で日程が迷走

「急ぎじゃないからいつでも」と言われると、逆に予定が組めず後回しに。結果、希望時期に間に合わないことも。
どうすればよいか?
「今月中」「〇日までに」と期限を伝えてもらえれば、最適な人員配置でスムーズに進みます。

「いつでもいいよ」で日程が迷走(杉並区・草取り枝切り事例)
杉並区で草取りと枝切りを頼まれた奥さまからの2回目の依頼。電話では「またお願いね。急ぎじゃないから都合のいい日に空いたら連絡して」と言われました。こちらとしても仕事の合間に組めるので助かるのですが、前回の作業日が近づいたころ電話すると「その日は用事があるからまた連絡する」との返事。その後1か月待っても連絡がなく、こちらから再度電話したら「あなたから連絡ないから待っていたのよ」と奥さま。結局、他のスタッフにヘルプを頼んで予定を空け、ようやく作業になりました。
なぜ困る?
「いつでもいい」と言われると日程を組みにくく、結果としてお互いに行き違いが発生しやすくなります。
どうすればよいか?
「今月中」「〇日までに」など期限を伝えていただければ、スケジュールが明確になり、無駄な待ち時間や調整の手間を避けられます。


4. 「電話だけで全部決めたい」

現地確認なしで「電話で見積りしてほしい」と言われると、実際の荷物量と大きくズレがちです。
どうすればよいか?
写真を送るだけでも精度が上がります。オンライン確認や簡単な下見を挟めば、当日の追加費用を避けられます。

「電話だけで全部決めたい」(江戸川区・1DK社宅事例)
江戸川区のアパート、1DKの社宅を退去するにあたり「荷物を全部撤去して掃除もお願いします。で、料金はいくら?」と電話がありました。こちらで「○○円から○○円くらいです」と答えると、「会社で借りている部屋だから確定した金額が必要」とのこと。しかも依頼主は遠方で立ち会いもできず、鍵の手配も不可能。
そこで確認したのが「お部屋の中をご覧になりましたか?」という点です。もし扉を開けたらゴミ屋敷状態だったらどうするのか。電話だけではとても確定見積りは出せません。最終的には後日、室内の写真を撮って送ってもらい、ようやく正確な見積りを提示できました。
なぜ困る?
電話口だけでは荷物量も状態も不明で、実際の作業と大きくズレる可能性が高いからです。
どうすればよいか?
写真を送っていただくだけでも精度は格段に上がります。オンライン確認や簡単な下見を挟むことで、後日の追加費用や行き違いを防げます。


「他社と比べるだけだから」と冷やかし気味

「とりあえず3社に見積り取ってるだけ」と断言されると、現場スタッフのモチベーションは正直下がります。
どうすればよいか?
「比較中だが条件次第でお願いするつもり」と一言添えてもらえると、誠実な提案が出やすくなります。

「他社と比べるだけだから」と冷やかし気味(北本市・相続空き家の草取り枝切り事例)
北本市でのご相談。相続予定の空き家の敷地50坪ほどで、草取りと枝切りの見積り依頼でした。お電話では「とりあえず3社に見積り取っているだけ」と断言され、「いくらかかるか知りたい、急いでいる」とのこと。
ただ、相続人が複数で、まだ正式に誰が管理するのかも決まっていない状況。それでは、お電話でお見積りした概算見積もりでよいですかと伝えると、「ホームページに見積り無料と書いてあるのに」とお叱りを受けました。見積り自体はもちろん無料ですが、改ざん見積りで予算を把握しておいて業者の依頼を検討する段に正式な見積りをとるようにしてほしい。出せません。
なぜ困る?
「比較だけ」「まだ未定」という状態では、真剣に条件を詰められず、双方の時間だけ消費してしまいます。
どうすればよいか?
「比較中だが条件次第でお願いするつもり」と一言添えていただければ、責任を持った見積りに応じられます。その方が結果的に依頼者自身も納得できる判断につながります。
また、今回のケースで学んだように、敷地や作業内容の写真を送っていただければ、現地に行かなくても概算の見積りで予算の目安をお伝えすることが可能です。正式依頼の段階で改めて現地確認すれば、精度の高い見積りにつながります。


まとめ

便利屋への頼み方ひとつで、料金も仕上がりも大きく変わります。「相手に伝わるか」を少し意識するだけで、トラブルはぐっと減ります。便利屋親父としては「頼む側が悪い」とは思いません。ただ、事前に工夫していただければ、こちらも全力で応えられる──それが本音です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました