空き家になった実家、片付けと管理は誰に頼む?

便利屋のトリセツ(取扱説明書)

便利屋・シルバー人材・専門業者を比較

親の家が空き家になったとき、「どこに頼めばいいのか分からない」と悩む方が多いものです。
家の中には家財や大型家具が残り、庭や建物も手入れが必要になります。
この記事では、便利屋・シルバー人材センター・空き家片付け専門業者の特徴と違いを比較しながら、依頼の判断基準を分かりやすく解説します。

実家が空き家になったときにやるべきこと

親の家が空き家になったとき、多くの人が最初に直面するのが「何から手をつければいいのか」という悩みです。
片付けや掃除だけでなく、郵便物や公共料金の整理、庭木の手入れなど、意外と多くの作業が発生します。

まずは、家の状態を把握することが第一歩です。
・家の中に残された家財の量
・建物や設備の傷み具合
・今後、売却・賃貸・解体のどれを検討するのか
これらを確認して、必要な作業をリスト化しておくと、依頼先を選ぶ際にもスムーズです。

放置が長引くと、老朽化や雨漏り、害虫、近隣トラブルなどのリスクが高まります。
定期的な換気や点検ができない場合は、信頼できる第三者に管理を委ねるのが現実的です。


どこに頼む?便利屋・シルバー人材・専門業者を比較

空き家の片付けや管理を依頼できる先は、大きく分けて3種類あります。
作業の内容や規模によって、適した依頼先を選ぶことが重要です。


① 便利屋に頼む場合

便利屋は「ちょっとした困りごと」に柔軟に対応してくれる存在です。
家具の移動や小型家電の回収、庭木の剪定、掃除など、軽作業中心の依頼に向いています。

【特徴】

  • 即日対応・少人数作業が多く、スピード重視
  • 1〜2名体制で数時間、1〜3万円前後の作業が中心
  • ご近所感覚で頼みやすい

【注意点】

  • 不用品の「処分」まで請け負えるかは要確認
  • 廃棄物処理の許可を持たない便利屋もあるため、
     持ち帰り処分を依頼する際は必ず許可業者と連携しているか確認が必要です。

「少しずつ片付けたい」「家の中を軽く整理したい」といった場合に向いています。


② シルバー人材センターに頼む場合

シルバー人材センターは、各市町村ごとに登録された高齢者の方が活動している公益的な団体です。
草むしり、簡単な清掃、整理整頓など、軽作業を比較的安価で依頼できます。

【特徴】

  • 公共性が高く、安心して依頼できる
  • 費用は**時給1,000円前後〜**が目安
  • 地域密着で、継続的な管理依頼にも対応できる場合あり

【注意点】

  • 家財の搬出や大型家具の処分など、危険を伴う作業は対象外
  • トラック運搬や廃棄処理は原則行えない
  • 依頼から作業開始まで少し時間がかかることもある

「費用を抑えて、軽い片付けや清掃だけ頼みたい」というケースに向いています。


③ 空き家片付け専門業者に頼む場合

家具や家電を含む家財撤去、仕分け、搬出、清掃まで一括で任せたい場合は、専門業者が適しています。
特に遠方に住んでいる人や、家全体の整理を短期間で終わらせたい人にとっては最も現実的な選択です。

【特徴】

  • 家の中の家財をすべて撤去・処分できる
  • 掃除・消臭・供養などにも対応可能
  • 鍵の預かりや立会い不要のプランを提供する会社もある

【料金の目安】

  • 1K:35,000円〜90,000円前後(例:遺品整理キューネット)
  • 1LDK:約90,000円〜150,000円前後(同上)
  • 戸建て全体の整理:15万円〜50万円以上(片付け堂・Green’s株式会社などの実例)
  • 大量の家財撤去・特殊清掃が必要な場合は100万円を超えるケースもあります。

【参考事例】


作業内容と費用の目安

依頼先主な作業内容費用の目安特徴
便利屋軽作業・掃除・小型家具の回収1〜3万円前後即日対応・柔軟
シルバー人材センター掃除・草刈り・整理整頓時給1,000円〜公共性・低料金
専門業者家財撤去・分別・廃棄・清掃10〜50万円以上一括対応・スピード

依頼内容を明確にしておくと、見積もり比較もしやすくなります。


こんなときは専門業者がおすすめ

  • 家財が多く、自分では分別や搬出が難しい
  • 遠方に住んでおり、現地に行く時間が取れない
  • 売却・解体・賃貸のために早めに家を空けたい

専門業者は、人員と車両を確保して短期間で作業を終わらせるため、
「まとめて依頼したい」「一度で片付けたい」という場合に向いています。


空き家管理を続ける場合のポイント

片付けが終わった後も、家を放置すると劣化が進みます。
少なくとも月1回は以下を行うのが理想です。

  • 換気・通水をして湿気を防ぐ
  • 郵便物やチラシを整理
  • 雑草や庭木の手入れ
  • 戸締り・外壁の点検

継続的に訪問できない場合は、地域の便利屋や管理サービスに巡回を依頼する方法もあります。
一時的な作業と継続管理を分けて考えるのが現実的です。


まとめ|状況に応じて最適な依頼先を選ぶ

空き家の片付けと管理は、状況によって最適な依頼先が異なります。
小規模な片付けや掃除なら便利屋やシルバー人材センター、
家財撤去や大規模整理なら専門業者が適しています。

費用の安さだけでなく、対応範囲・許可・安全性も確認して、
自分の状況に合った方法を選びましょう。
放置せず、早めに行動することが、家を守る最良の対策になります。

=編集・執筆=
山本 貴子(やまもと たかこ)
1947年9月5日生まれ。出版社勤務を経て、現在はフリーライターとして活動。
主に暮らし・住まい・終活関連の記事を中心に執筆し、取材歴は7年。
「現場で働く人の声を伝えること」「安心して読める生活情報」を信条に、
中立の立場から整理・片付け業界の実情をわかりやすく紹介している。

🏡 取材協力

家財整理センター 空き家管理士・大野大助さんからコメント
大野さんのプロフィールはこちら

空き家は「片付けたら終わり」ではなく、
そこからの維持が始まりです。
風通しや雨漏りチェックなど、定期的な確認を怠ると、
住まいの傷みは想像以上に早く進みます。

家の状態を保つうえで大切なのは、
“誰かが関心を持ち続けていること”。
完全に放置せず、少しでも目を向けてあげるだけで、
価値も思い出も守ることができます。

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